遠州常民文化談話会
 

『佐久間の民俗』報告書刊行記念の集い
主催:遠州常民文化談話会 ・ 共催:浜松市博物館

遠州常民文化談話会ではこの度、旧佐久間町の町域を調査の対象とした民俗の報告書を刊行しました。その刊行の集いが、浜松市天竜区佐久間町の佐久間歴史と民話の郷会館で 2018年11月18日(日)13:00から開催されました。地元佐久間町にお住まいの方々、聞き取り調査に御協力いただいた方々、遠州常民文化談話会の活動に注視くださる方々など大勢お集りいただきました。会場は150人を超える多くの方々の熱い佐久間への思いが感じられる集いとなりました。

名倉慎一郎当談話会代表が刊行の挨拶をしました。遠州常民談話会は1981年に遠州の地で、柳田國男研究者の明治大学教授後藤総一郎氏と竜洋町在住の画家大庭祐輔氏との出会いにより、生まれました。後藤総一郎先生、野本寛一先生の指導の下、柳田國男の著者を読みながら、遠州地方の民俗・歴史を調査研究してきました。月1回の例会を37年間継続してきました。平成24年に民俗報告書『水窪の民俗』を刊行したところ好評を得、1500部の完売となっています。この度5年以上にわたる現地調査を重ね、ようやく『佐久間の民俗』を刊行することができました。これだけ多くの方々に刊行を祝っていただき幸甚であります。  佐久間にお住まいの方々がお忙しい中、時間を割いて、丁寧なお話しをしていただきました。ありがとうございました。それを基にした民俗の報告、記録です。この報告書が、必ずや佐久間地区に住む人々の文化を多くの人々に知ってもらう機会となり、また佐久間に住む人々の地元文化に対する矜持・誇りになることを確信しております。

次に野本寛一先生の御講演がありました。1937年静岡県生まれ。文学博士(筑波大学)。日本民俗学専攻。近畿大学名誉教授。2015年文化功労者。著書に『稲作民俗文化論』(雄山閣)、『生態民俗学序説』(白水社)、『神々の風景―信仰環境論の試み―』(白水社)、『民俗誌・女性の一生―母性の力』(文春新書)、『地霊の復権―自然と結ぶ民俗をさぐる』(岩波書店)、『自然と共に生きる作法 水窪からの発信』(静岡新聞社)、『季節の民俗誌』(玉川大学出版部)などがあります。

「花の自然暦」と題した講演でした。これから寒さを迎えるにあたりコブシの花のきれいな写真を披露いただき、その花の鑑賞をしながら、その花を巡る民俗を語ってくださるという手法で話しは進んでいきました。ウノハナ、シオン、アジサイ、ヌルデ(カツの木)、アカメカシワ、ヌバタマの花と続いていきました。特にアジサイの花を軒先に飾る民俗については興味深いものがありました。

野本寛一先生の講演

次に当談話会の会員の伊藤久仁俊さんから佐久間の民俗芸能について詳細な報告がありました。伊藤さんは第9章の「祭礼と芸能」を執筆しました。100頁を超える分量の民俗芸の報告がなされています。当地の有名な「花の舞」からはじまり、湯立て神事、神楽舞(獅子舞)、歌舞伎、お盆の行事と芸能、祇園祭りと多彩な民俗芸能が悉皆的に調査され、報告されています。特にこの北遠ではその分布、実態が報告されていない神楽舞(獅子舞)についてその分布、伝承の様子を詳細に報告しており、今後価値を持つ報告になると思われます。伊藤さんは各々の芸能に足を運んで必ず見て、映像におさめ、地元の方々に話しを聞くことを継続してきました。民俗のよい報告になっていると確信いたします。

次に『佐久間の民俗』刊行記念のシンポジウムが持たれました。登壇したのは、司会者の平野斗紀子さん、地元の話者から金田勝さん(半場)、大見芳さん(中部)、遠州常民文化談話会執筆者からは大石龍さん、今村純子さん、中山正典の6人でした。金田さんから久根鉱山で働いていた朝鮮半島から来た労働者のこと、大見さんから龍神の舞のことと、NPOがんばるまい会の活動こと、大石さんには報告書の中で触れられた社会組織のこと、今村さんには食文化のことをそれぞれ語ってもらいました。そして中山から本報告書の特色である諸点について紹介しました。この紹介は全て網羅できなく残念に思いますが、敢えて数点挙げればとして紹介しています。民俗芸能は湯立神事、霜月神楽、神楽舞と悉皆的に佐久間の民俗芸能が報告されています。交通交易運搬では天竜川の河川運搬を利用した歴史を見ることができます。食文化は別編も含め、現在の伝承を知ることができます。佐久間ダムの水没集落、山室の生活文化を知ることができる貴重な資料が記載されています。久根鉱山の集落の生活文化が報告されています。コラムが充実していて、悉皆的な調査ができなかったところを埋めるべく、民俗を豊かに語ってくれています。巻末に佐久間町の年表が平賀孝晴さん(中部)の協力で掲載することができました。  以上16:10までパネラーの方々からもっと話しを聞きたいという余韻を残しながら、会は閉会となりました。  

『佐久間の民俗』刊行記念の集い パネルディスカッション
『佐久間の民俗』の内容 464頁
第1章 環境と生業 中山 正典
第2章 産業
第1節(1~3)、第2~4節 中山 正典
第2節(4~7) 北島 金三
第3章 社会組織 大石 龍
第4章 交通・交易・運搬 山内 薫明
第5章 衣・食・生活全般 今村 純子
第6章 年中行事 平野 斗紀子
第7章 人生儀礼 永井 豪
第8章 信仰 名倉 愼一郎
第9章 祭礼と芸能 伊藤 久仁俊
第10章 民話・昔話 大島 たまよ
第11章 山の暮らし(「衣・食・生活全般」別編) 渡水 三枝子
コラム 中山 正典
伊藤 久仁俊
平野 斗紀子
渡水 三枝子
資料編
1 佐久間町年表 平賀 孝晴 氏
長谷川 陽子 氏
松本 由佳 氏
北野谷 啓代 氏
2 佐久間町史未掲載原稿より 今川 淳子 氏
3 佐久間の民話リスト 大島 たまよ
4 佐久間の民俗資料 伊藤 久仁俊
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月例会のご案内
日時
原則 :毎月第3土曜日 午後1時30分~5時年間学習計画
会場
原則 :中泉交流センター(磐田市中泉(坂上町)2404-1)
参加費
1回1,000円・年間10,000円
初めての方は無料 
問合せ先
問合せフォームよりお問い合わせ下さい問合せフォーム
  
次回のお知らせ
12/15(土)
  • 『日本の祭』を読む⑩ 平野 斗来子 さん
    神幸と神態(7~12)
  • 郷土の祭を語る田中 興平 さん(遠州祭研究会代表)
    「横須賀のまつり(仮題)」

前回の内容
日時
平成30年11月18日(日)13:00~
会場
佐久間民話の郷会館
内容
  • 佐久間民俗調査報告講演会 
    野本 寛一 先生(文化功労者・近畿大学名誉教授)
    「花の自然暦」
    会場:佐久間民話の郷会館
       (浜松市天竜区佐久間町佐久間429-1)
    13時~