民俗学者・柳田國男が1910年に発表した説話集。岩手県遠野地方に古くから伝わる伝承や逸話を、遠野出身の佐々木喜善から聞き書きし、全119話にまとめたもので、日本各地の民間伝承を記録・研究する、柳田の初期の代表作です。遠野物語の特徴は、山人、河童、狐、天狗など、奇妙で不思議な民間伝承が数多く収録されていることです。遠野の自然や風土、人々の暮らしぶりが生き生きと描かれ、当時の東北地方の民俗的世界観が色濃く反映されています。